2008年07月29日

建築家モン太の日々

6.
 モン太家の朝食は最近少し遅くなった。あまり早く起きる必要がなくなったのか、妻の起きるのがゆっくりしている。夫のモン太が、医者から減量を言われていて、食事の準備も楽だと思っているのに違いない。
「神戸で大きな事故があったようね」
妻が食卓の向こう側にある14インチの古いテレビを見ながら言った。
昨夜から報道されている川の増水によって何人もの命が奪われた事故である。
「あれほどの増水なら、予知できたのではないの」
「1メートル以上も一気に水位が上がるのだから分かりそうなものなのにな」
モン太は相づちを打った。
「しかし、この川も急流で上流で降った雨によって下流での増水までに時間がなかったようだ」 
 日本中、どこでも同様である。急激な宅地造成が進み、保水力を持っていた土地が森林伐採によって、それを失いつつある。モン太の住む地方にも、同じことが言えた。N川も先日まで、ダム湖が満水になり少しずつ放流を続けていたかと思えば、現在は工業用水の取水制限がでている。10年ほど前までは治水、利水のためのダムの建設の話があったが、上流域の村民の反対で中止になった。
「ダム建設をはじめインフラ整備という問題は難しいな」
モン太はつくづく思う。N川の下流域に住んでいると、この川が人々の生活に大きく関わっているかがよく分かる。
「今、前の堤防で何の工事をしているの」
先日、妻に聞かれたことがある。前年度から今年度にかけて堤防の内側斜面を工事している。大規模な工事である。自然の雑草で覆われていた斜面を部分的にコンクリートで補強している。最近は景観も考慮して自然石を使ったりして工夫はしている。
「一昨年の増水の時に、Aさんが言っていたけど、川の水が漏れていたらしいよ。向こう側の水が堤防を越してこっち側に漏れていたらしい」Aさんは、N川の堤防沿いに住んでいるモン太の友人である。
「それで、災害対策の工事をしているんだって」
「そういう工事は是非やってもらわなければ」
長い年月をかけて、こういう行為を繰り返しながら、人間は風景を変えていくのだ。ずっと先を見たとき、それが良いか悪いかは判断できない。

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posted by モン太 at 08:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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