2008年07月28日

建築家モン太の日々

5.
「生活の中で便利とか不便とかって何だろうね」
遠い道のりを帰ってきて、夕食をとりながら妻が言った。昼間の山腹の住宅を思い出しているのだろう。
「生活をしているっていうことは、どこかではもっと便利なものを求めながらでも、そこでそれなりに充実しているということ・・・」と言って、少し考え込んだ。
「生活というものは便利、不便だけで割り切れるものではない」
「あんな景色や空気の中で何十年も暮らしていたら、便利さなど要らない?」横目でこっちを見ながら問うように言う。
「お母さんの場合はどうなの」
生まれ育った田舎の事を聞いてみた。
「私は、十代で離れたから」
「それでも、あんな景色を見ると思い出すだろ」
「田舎は今、どうなっているんだろう」
妻の実家は、現在はその場所にない。ずっと昔に山を下った町に家を買って出てきている。従って、妻の場合、里帰りといっても生まれ育った場所ではない。妻の実家ばかりではない。そこの集落も、一軒去り、二軒去りで、現在は数軒しか残っていないという。
「いつか、行ってみよう」
「行くのなら、もう少し先がいい。あそこに大きな栗があるし、あそこの柿も美味しい」
子供の頃を思い出しながら言っている。
「いや、春がいいかも。渓流に水蕗の良いのがいっぱいあるし、タラの芽もある」
 そんな会話をしながら、人間の生活とは果たして何なのか。大きな課題を残して、充実の一日が終わろうとしている。

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ラベル:渓流 里帰り
posted by モン太 at 06:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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